流産手術は不妊治療の始まりです

不妊治療でやっと妊娠したのに、胎児発育が止まってしまい流産であるとわかったとき… 妊娠しなかった時以上に落胆する患者さまが多く、私達医療スタッフも重苦しい気持ちになります。
流産の処置は他院に依頼する不妊治療クリニックもあるようです。
私は、ここから次の治療が始まると考え、当院で不妊治療や妊娠後の経過を診ていた方については、原則として当院で処置をするようにしています。

NHKで放送されている産婦人科医院を舞台にした「透明なゆりかご」という医療ドラマをご存知でしょうか。第1回目の医療監修の中に池下クリニックグループの池下久弥理事長の名前があったこともあり、私は毎回録画して見ています。妊娠分娩にまつわる様々な人間模様が、ひと昔前の産院の様子と共になかなかリアルに描かれています。
前回は、不妊後の待望の妊娠が流産となった夫婦の話と若い女性の人工妊娠中絶の話が平行して展開されました。主人公の看護学生が、産院の院長に「先生はどうして人工妊娠中絶を断らないのですか?」と質問します。院長の返答は、「いつか妊娠を希望した時のためにしていることだと考えて、丁寧な処置を心がけている」。

本当にその通りだと思います。流産か人工妊娠中絶かに関わらず、適切な流産手術は次の妊娠ための大事な処置なのです。

これまで日本では特に教育機関病院ほど、掻爬(そうは)による流産手術が主となっておりました。経験のある医師が行えば問題はありませんが、やり方によっては内膜を損傷するリスクがある施術です。これと比較すると、多くのクリニックで行われている金属管に電動吸引器を接続して使用する吸引手術はリスクが軽減されますが、吸引後に組織が残ってないか確認するために軽い掻爬が行われます。組織が残って出血が長引くことがないように教育されてきたからです。

諸外国では以前から 真空管吸引法(MVA)という、柔らかい素材のチューブに陰圧で吸引する注射器のようなものを接続して使用する方法が主流となっていました。日本でもやっと器具が発売となり、当院でも昨年から使用を開始しています。この春から保険適応となり、流産の手術には全例MVAを使用しております。子宮を傷つけずに、早く次の妊娠に臨むことができると考えております。
不妊治療後の流産の方にこそ、MVAでの処置をお勧めします。

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