新しい年に

 平成30年も本日で終わります。あちらこちらに「平成最後の…」という文言がならんでいます。
 新しい元号に変わることは大きなことですが、来年は池下レディースクリニック吉祥寺も開院10年という節目を迎えます。6年経ったところで現在のところに移転し、職員の数も増えました。カルテ番号も1万4千を超え、沢山の方々にお会いしてきたことに今更ながら驚くとともに、その責任の重さにさらに気持ちを引き締めて診療に取り組まなくてはと思っております。

 この10年で、不妊外来の患者さんの年齢層、背景、治療内容、公的な助成制度などに様々な変遷がありました。

 結婚年齢が遅くなったことで40歳前後での初診の方が昔より多いのは相変わらずですが、一時期より30歳前後ぐらいの方の受診も増えている印象があります。あらゆることをネットで情報収集しながら育った方たちなので、何年も一人で悩むのではなく、早めに受診されるようになったのでしょうか。不妊検査についておおよその知識があり、携帯アプリや排卵検査薬を使用し、タイミング療法は試行済みと同じような状態で来る方も増えました。所得制限のない不妊検査の助成制度は34歳までなので、年齢が若くても1年過ぎたら早めに検査だけでも受けることをお勧めします。
 ネットでの情報収集は私も生活の様々な面でお世話になっています。一方で、不妊治療に限ったことではありませんが、個人ブログなどでの情報は内容が正しくないことも度々あり、振り回されることもあるかもしれません。不安解消のつもりがストレスの原因にならないように上手く活用したいものです。

 体外受精説明会への男性夫出席率の高さも開始時と大きく変わった点です。きっと出産後も育児に主体的に参加してくださる頼もしいパートナーの方々なのでしょう。当院にも育児明けの職員が数名おりますが、配偶者の方々のご協力には大変助けられております。

 生殖補助医療の世界では、妊娠率が一定の上昇があった後、横ばいになっていると言われています。そこを打破するために着床の窓と言われる着床に適した時期を確認する検査や、慢性子宮内膜炎の治療などがあります。当院ではこれらを検査するために、igenomix社のERA、ALICE、EMMAなどの検査を導入しています。受精卵の染色体異常を調べる着床前スクリーニング検査は、習慣流産など特殊例を除き、日本産科婦人科学会は一般的な実施を認めていません。対象症例を拡大してよいか学会主導で臨床治験が進められている段階です。しかし、染色体異常がなく質の良い受精卵を作る方法というわけではないので、採卵あたりの妊娠率を上げることは期待できません。
 ―平成の次の時代に、その点が突破されるのでしょうか。

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