婦人科検診を受けましょう

仕事・結婚・妊娠出産などをめぐって現代女性のライフスタイルは多様化しています。年齢だけではなくその人のライフスタイルによって起こりやすい病気、治療法の選択肢も変わります。今のあなたの健康状態を把握し、今後の人生設計を考えるうえでの参考にしてください。

1~2年に1回は検診を受けましょう。

※症状や所見のある方は保険適用が可能です。受診して医師にご相談ください。

子宮筋腫

子宮にできる良性の腫瘍で、30~50代の女性の4~5人に一人は持っているといわれています。悪性になることはありませんが、定期的に検査を受けて、様子をみることが大事です。貧血になるほど月経の量が多い、下腹痛や腰痛がひどいなどの症状が重くなるようでしたら、治療が必要です。

子宮内膜症

子宮内膜という月経の時に剥がれてくる組織が、本来の場所以外で増殖する病気です。チョコレート嚢胞と呼ばれる卵巣嚢腫や子宮の筋層が厚くなる子宮腺筋症などの病変ができると、超音波検査で見つけることができます。子宮内膜症を発症すると月経痛が強くなり、重症になると月経以外の時でもお腹や腰に痛みが生じるようになります。不妊症の原因になることが知られています。

卵巣嚢腫

卵巣腫瘍のなかで良性のものを一般的に卵巣嚢腫と呼んでいます。かなり大きくなるまで症状がでないことが多く、他の症状や妊娠で婦人科を受診した際に見つかることが多いようです。普段無症状のものでも、茎捻転といって卵管や血管が走行する根元が捻れて激痛をおこし、緊急で手術が必要となることがあります。また一部のものは悪性化する場合もありますので、ある程度の大きさになったら治療が必要です。

子宮頸癌

子宮頸癌は子宮の入り口にできる癌です。多くのケースが性行為で感染するパピローマウイルスが原因となって発症すると言われており、20代の女性でも発症することがあります。前癌病変や初期癌で発見すれば、子宮の入り口を削り取るような手術で治療できますので、術後の妊娠・出産も可能です。進行してくると、出血や帯下の増加が見られますが、初期には無症状のことが多く、早期発見のためには無症状でも1~2年に1回検診を受けることが大事です。

子宮頸癌を予防する唯一の方法はHPVワクチンです。
公費接種の対象となる年齢や手続きは、お住まいの自治体でご確認ください。
公費対象でない方は自費診療となります。

子宮体癌

子宮体癌は子宮内膜にできる中高年の方に多い癌で、①長期の月経不順②出産をしていない③肥満などがリスク因子となります。乳癌同様近年日本でも増加しており、欧米型の食生活や女性のライフスタイルの変化も関係していると言われています。直接見ながら採取する子宮頸部の細胞診と比較して、子宮内膜細胞診は検出率がやや劣り、無症状の方が子宮体癌検診を受ける意義については論議があります。①リスク因子がある方②不定期に出血がある③月経の量が多く期間も長い③閉経後なのに帯下が多いなどの症状がある方は受診をお勧めします。

卵巣癌

卵巣癌は最近増加傾向にあり、10代から高齢者まで幅広い年齢で見られます。早期発見が難しく、女性の癌の中では治りにくいといわれています。小さいうちは内診では見つけられないので、婦人科検診を受ける場合は経膣超音波検査も受けて、卵巣に異変がないかみることをお勧めします。

プレコンセプション検査でわかること

これから妊娠を考えている方に受けて頂きたい検査です。子宮癌検診、超音波検査、性感染症、胎児に影響が出る可能性がある感染症などが含まれます。基本的な項目をセットにしていますが、患者様と相談のうえ、必要項目を追加することができます。
プレコンセプション検査についてはこちら

卵巣予備能とは?

女性の社会進出に伴い、特に都市部では初婚年齢が高くなり、不妊カップルが増えている大きな要因になっています。「卵子の老化による不妊」がクローズアップされるようになり、将来妊娠できるか不安に思う方も増えています。

現在血液検査でわかる卵巣予備能は、抗ミュラー管ホルモンの値で推測される、卵巣に残っている卵子の数です。卵子の質を判定する検査ではありません。極端に減少しているのではなければ必要以上に不安になる必要もありませんが、30代後半以降の女性の場合、年齢平均より高いからといって同年代の方よりも自然妊娠しやすいと保証するものではありません。

低用量ピルの効用

ピル服用の最大のメリットはその確実な避妊効果です。のみ忘れさえなければ、1年間の妊娠率は0.3%と言われており、コンドームを正しく使用した場合の年間妊娠率が3%であるのと比べると、いかにピルの避妊効果が高いものかおわかり頂けるかと思います。

様々な副効用

下記の症状でお悩みの方、ピルの服用も治療の選択肢としてお考え下さい。

※月経量が多く貧血になる。

※月経痛が激しく、鎮痛剤を服用しても体調がすぐれない。

※月経不順があり、すぐに妊娠を希望していない。

※ホルモンのアンバランスによるニキビ、多毛が気になる。

※子宮内膜症があり経過観察しているが、なるべく進行を抑えたい。

月経困難症がある方は、保険適用になる製剤もあります。

ピルの副作用は?

これまでにピルは欧米を中心として40年余りもの間改良を重ねられてきました。現在世界で約1億人の女性がピルを服用していると言われており、副作用についても多くのデータの蓄積があります。

飲み始めには3分の1近くの人に吐き気や頭痛、むくみなどがみられますが、飲み続けて頂くと、1~2周期の間に症状が軽くなっていきます。まれに、血栓症という血の固まりが血管につまることによる重大な副作用が起きる場合があります。①血栓症の既往がある②35歳以上で1日15本以上タバコを吸う③糖尿病、高脂血症、高血圧などの持病がある④45歳以上、など血栓症のリスク因子がある人は服用をお勧めしません。ピル服用に際して問題となるような基礎疾患がないか問診で確認致します。健康診断の結果などありましたら持参して受診なさってください。

月経困難症とは?

月経期間中に生じる下腹痛、腰痛、腹部膨満感、吐き気、頭痛、下痢、イライラや憂鬱などの病的症状のことです。ご本人にとって日常生活に何らかの支障をきたしているかどうかで判断します。

器質的月経困難症

 子宮筋腫や子宮内膜症などの疾患が原因となっており、徐々に悪化します。進行すると、月経前後も症状が続き、慢性的な骨盤痛を生じることもあります。
 どちらも不妊症の原因となることがあります。
 薬物療法をするか、手術療法をするかは、その方の年齢、今すぐ妊娠出産の希望があるのか、今後将来的なこととして妊娠を希望しているか…といったその方のライフステージの状況によって方針が変わります。
 年々悪化している方は、鎮痛剤で我慢できていても定期的な検診を受けることをお勧めします。

機能性月経困難症

 初経後3年以内に発症することが多く、子宮の発育や月経への不安感の軽減により改善する場合もあります。月経時に産生されるプロスタグランジンという痛みをおこすものが、子宮や腸管の過度の収縮させるために様々の症状をひきおこします。

月経困難症の薬物療法

痛みを抑える対処療法
鎮痛剤、鎮痙剤(子宮の収縮を抑えます)、漢方薬など

内分泌療法
排卵を抑え、子宮内膜の増殖を抑えます。プロスタグランジンの産生が減少する、月経量が減少する、などの効果があります。子宮内膜症の進行を抑える効果もあります。

比較的若い方
低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)
「低用量ピル」と呼ばれているものです。月経困難症の方には保険適用で処方できる製剤もあります。症状が強い方は10代の方でも服用されています。

年齢・喫煙・高血圧・肥満など血栓症のリスク因子がある方、LEP服用で十分な効果が得られない方
プロゲスチン製剤(ディナゲスト錠など)

LEP服用にリスクがある方や、既にお子様がいて当分妊娠の予定のない方
子宮内黄体ホルモン放出システムの挿入

 

それぞれの薬物療法の特性、メリット・デメリットなどがありますので、診察し、相談のうえ選択します。途中で他の方法に変更することもできます。

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